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狼と牧師
Photo by Tambako the Jaguar
アイルランドのとある司祭がアルスターからミースへ行く途中、狼が近づいてきて話しかけた。
「自分の妻が死にそうなので、最後の儀式をしてほしい」
その狼の妻は、聖ナタリスがオサリーの人々にかけた呪いの犠牲者であった。その呪いのために7年ごとに2人の人間が狼の毛皮をまとって、狼として暮らさなければならないのだ
狼について森に入って行くと、木の下に雌狼が横たわっていた。雄狼は雌狼の毛皮をたくし上げると、その下には老婦人の体が見えた。司祭は老婦人の懺悔を聞き、最後の儀式を行なった。
狼は司祭を街道まで送り、礼を言って「7年間生き延びたら、司祭を捜し出してしかるべきお礼をしよう」と言って去っていった。
◆ 参考文献
バリー・ホルスタン・ロペス、中村 妙子・岩原明子訳『オオカミと人間』草思社