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ウデゲ族の始祖

熊 Photo by in_the_angel_cake

 極東ロシアの先住民族ウデゲ族の始祖神話。

 イェグダという男が妹と暮らしていた。他に人間はいなかった。あるとき、妹が兄にお嫁さんを探しにいくように言った。そこでイェグダは嫁探しに出かけた。1軒の天幕があり、そこには妹によく似た女が裸でひとりいた。

 イェグダは家に戻り、妹にそのことを話した。妹は「その女は他人で、全ての女は似ているものだ」と答えた。イェグダは再び出発し、天幕に向かった。天幕には裸の女がいた。しかし、その女は兄に先回りして天幕に走り着き、着物を脱いだ妹であった。イェグダは妹と知らずにその女と結婚した。この近親婚によって1人の男の子と1人の女の子が生まれた。

 あるとき、狩りに出かけた男の子は、クア鳥を矢で射かけると、鳥は「お前は兄と妹の間に生まれたのだから、他の全ての動物とまったく同じ動物なのだ」と言った。男の子は家に帰って、このことを父に話し始めると、母はそれを制する。イェグダはその夜、息子からすべてを聞き出し、妹にだまされていたことを知った。

 翌朝、イェグダは森へ行き、道をつけ、そこへ仕掛け弓をかけた。家に帰り、妹をそこへ行かせた。妹は矢に当って死んだ。イェグダは息子と娘を連れて森へ行き、牡熊の通り道に娘を、牝虎の通り道に息子を置き去りにして、自分は川に身を投げて死んだ。

 娘は牡熊に拾われてその妻になり、この結婚からウデゲ族が起こった。息子は牝虎に拾われその夫となったが、子供はなかった。

◆ 参考文献

大林太良・伊藤清司・吉田敦彦・松村一男 編『世界神話事典』角川書店

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